本尊示現会は、浅草寺のご本尊である観音様が、この世に姿を現した3月18日に浅草寺で開かれている法要です。また、堂上げ・堂下げとは、三社祭で使われる三基の神輿に、浅草神社のご祭神でもある土師真中知命、檜前浜成命、檜前竹成命にお乗りいただき、観音様のいらっしゃる場所である浅草寺本堂内で一晩過ごしていただく、という年中行事です。古くは、三社祭と一体として行われていた示現会や堂上げ・堂下げですが、神仏分離など時代の変遷を経て現在の形になっています。
浅草寺・本尊示現会、浅草神社・本社神輿の堂上げ・堂下げにまつわる歴史や、日程、見どころについてご紹介いたします!
▼目次
1 浅草寺にまつわる歴史・由来
2 観音祭りの変遷
3 例年の日程や時間の流れ(3月17日)
4 例年の日程や時間の流れ(3月18日)
5 見どころや名物
6 浅草寺・浅草神社へのアクセスなど
7 あなたにおすすめの浅草情報
浅草寺にまつわる歴史・由来
本尊示現会
「示現(じげん)」とは、文字通り、神仏がこの世に様々な姿となって現れることをいいます。浅草寺でいえば、本尊として祀っている観音様が姿を現したことを指します。(現在の)隅田川で、檜前浜成(ひのくまのはまなり)・竹成(たけなり)という漁師の兄弟によって、観音様の仏像が引きあげられたことが、浅草寺の起源とされていますが、これは、推古天皇36年3月18日の早朝のことでした。このことから、3月18日には、「本尊示現会」の法要が行わることになっています。
観音祭り
現在は、3月18日行わる本尊示現会と、5月に行われる三社祭とは別々に行われていますが、神仏分離令以前は、一体のものとして行われていました。神仏分離令が出て、浅草寺と浅草三社大権現(現在の浅草神社)が袂を分かつまで、「浅草寺」と「三社権現社」は一体でした。現在、三社祭として行われているお祭りも、現在と違う形で行われていて、3月17日、18日の両日に「観音祭」というお祭りが行われていました。
舟渡御(舟祭礼)
観音祭りでは、正和元年(1312年)から隔年で本祭が行われ、本祭りの際には「舟渡御(舟祭礼)」が行われていたそうです。
舟渡御(舟祭礼)は、文字通り、神輿を担ぎだすいわゆる「渡御」を「舟」で行っていたそうです。
舟渡御を行う際には、まず、「堂上げ」の儀式で、3月17日の晩に浅草寺本堂に神輿が入り、一夜お篭りをして、翌朝の「堂下げ」の後、現在の浅草橋あたりまでいき、一基づつ船にのって隅田川をさかのぼり、駒形橋脇の駒形堂で上陸して本社に戻る、ということが行われていたそうです。
もともと、ご本尊の観音様の仏像が、隅田川で網にかかり、駒形堂に置かれ、浅草寺の本堂で祀られるに至った歴史を象徴する形で行われる祭礼でした。
庭渡御(庭祭礼)
本祭り以外の年には、小祭として、「庭渡御」(陸のお祭り「庭祭礼」)が行われていたといわれています。この庭祭礼では、浅草寺境内や近隣の町への神輿渡御が行われ、現在の三社祭に近いものであった考えられています。
観音祭りの変遷
本尊示現会と三社祭
昔はこのように一体として行われていた観音祭りですが、神仏分離令などの影響を受けて、その形を変えていきます。神仏分離令によって、観音様をご本尊とする浅草寺と、土師真中知命、檜前浜成命、檜前竹成命ご祭神とする浅草神社に分かれ、もともと観音様の示現に関する法要であった「浅草示現会」は、3月18日に浅草寺でとり行われ、三神を宮神輿にのせた渡御については浅草神社の例大祭へと変遷していったようです。そして、舟渡御はその後途絶え、庭祭礼が5月に三社祭として行われる形へ変遷していきました。
現在の三社祭は、三基の神輿に、それぞれ、一之宮:土師真中知命、二之宮:檜前浜成命、三之宮:檜前竹成命という形で、浅草神社のご祭神が本社神輿(宮神輿)に遷御し、氏子四十四ヶ町に渡御されるのがメインの行事となっています。
舟渡御の復活
前述のとおり途絶えていた船渡御ですが、その後、昭和33年と、平成12年に復活しています。直近で行われた平成12年の「古式三社祭舟渡御」は、実に54年ぶりの復活であったこともあり注目を集めました。平成12年の船渡御では、関係者の尽力により、古くに行われていた観音祭りを可能な限り再現し、三基の宮神輿が隅田川を遡上しました。
堂上げ・堂下げの復活
船渡御の中で、浅草寺本堂に宮神輿のおこもりとして行わる堂上げ・堂下げも、平成12年の「古式三社祭舟渡御」で再現・復活されました。そして、平成12年以降は「堂上げ」「堂下げ」が復活し、浅草寺示現会にあわせて毎年行われるようになっています。
例年の日程や時間の流れ(3月17日)
現在は、3月18日の本尊示現会を中心として、さまざまな行事が行われています。具体的な日時は年度によって多少異なりますが、例年の流れをまとめてみました。例年の3月17日の流れは以下のとおりです。
18:00頃〜 神霊入れの儀
三社祭などの際には、三基の神輿に浅草神社のご祭神に乗っていただき、氏子各町を渡御していただきます。そこで、普段は浅草神社境内の神輿庫に保管されている三基の神輿に、浅草神社のご祭神である土師真中知命、檜前浜成命、檜前竹成命に遷御していただくため、神霊入れの儀が行われています。18時前から、浅草神社の神輿庫前に参加者が参列し、18時から神霊入れの儀が斎行されます。
18:30頃には神社参道に隊列が組まれ、一之宮・二之宮・三之宮の順に浅草寺に向け出発します。
19:00頃〜 堂上げ開始
19時から、浅草寺本堂で堂上げが始まります。
浅草神社から3基の神輿が担がれ、19時前に浅草寺本堂前に、隊列が到着し、堂上げの開始を待ちます。
浅草寺本堂は17時にはいったん閉門されますが、堂上げに合わせて再度開門されます。19時に太鼓の合図があり、三之宮・二之宮・一之宮の順に浅草寺本堂内に神輿が入れられていきます。15分程度で神輿が本堂に入り、その後、読経が行われ、19:30頃に堂上げが終了します。
例年の日程や時間の流れ(3月18日)
例年の3月18日の流れは以下のとおりです。
9:00頃〜 浅草神社神官祝詞奏上
3月18日は、朝9時から、浅草神社の神官が祝詞を奏上し、堂下げが始まります。浅草神社の神宮が、浅草寺の本堂で祝詞を奏上、その後浅草寺側の読経が行われ、その後、9:15分くらいから宮神輿の堂下げが始まります。
9:15頃〜 堂下げ開始
9:15頃、太鼓の合図で堂下げが開始されます。一之宮・二之宮・三之宮の順で、三基の神輿が浅草寺本堂から担ぎ出されます。
9:30頃〜 びんざさら舞
9:30頃から、浅草寺本堂前では「びんざさら舞」が奉納されます。
9:45頃〜 庭祭礼渡御
庭祭礼渡御として、浅草寺の本堂を一周、その後、浅草神社の鳥居前まで宮神輿が担がれます。その後、浅草神社の鳥居をくぐり参道まで渡御されます(宮入渡御)。
14:00頃〜 本尊示現会
浅草寺では、14:00頃に、示現会の法要が行われます。示現会の実施に合わせて、14時前に伝法院から仲見世を通り本堂まで、浅草寺住職の方々が練行列を行い、本堂に入られます。
16:30頃〜 神輿庫入れ、神霊返しの儀
浅草神社では16:30頃に三基の神輿が、浅草神社の神輿庫に戻され、17頃から神霊返しの儀が行われます。
金龍の舞
金龍の舞は、例年ですと、一日3回行われます。11:30分、14:00、15:30のスケジュールが多いようです。
見どころや名物
本尊示現会を中心として行われている行事について、日程や時間の流れは前述のとおりですが、その見どころをまとめてみました。
堂上げ・堂下げ
堂上げは夕方〜夜に行われ、すでに暗いため、氏子衆の方々が提灯やたいまつを持つ中で、浅草神社から浅草寺本堂へと神輿が移されます。神輿は、一基で約1トンあるそうです。それが、本堂前に三基並び、太鼓の音ともに担ぎ上げられ、順に本堂に入っていきます。威厳ある雰囲気と無事上がった瞬間の拍手喝采などは、堂上げならではの空気感だと思います。堂上げの翌日、観音様の前で一晩過ごされた三基の神輿を浅草神社に戻します。
金龍の舞
金龍の舞は、長さ約18メートル、重さ約88キロにも及ぶ巨大な「金龍」を操って行われる、浅草寺の三大寺舞の一つです。浅草寺境内で、例年、本尊示現会と菊供養会の日に、数回行われています。
浅草寺の起こり(縁起)を象徴した舞で、昭和33年に現在の浅草寺・本堂が落慶された際に奉演されたのが始まりです。
詳細は、こちらの記事もご参照ください!
びんざさら舞
堂下げに際して、浅草寺本堂前でびんざさら舞が行われます。びんざさら舞は「びんざさら」という小さな木片を多数糸でつなぎあわせた楽器を用いた舞です。
詳細は、こちらの記事もご参照ください!
紅札
本尊示現会に限って授与されるお札があります。赤い掛け紙の色から「紅札」とも呼ばれています。
御朱印
浅草神社では、堂上げ・堂下げの日に限り、期間限定の堂上げ・堂下げにちなんだ御朱印をいただくことができます。
浅草寺・浅草神社へのアクセスなど
浅草寺や浅草神社へのアクセス、営業時間、ご利益や御朱印などの基本情報については、下記をご参照ください!
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